いまここで会える自然

植物初心者でも、街中で楽しめる植物を紹介するブログ

アカメガシワ パイオニアの生き方

突然ですが、こういうはっぱを見たことがあるでしょうか?

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▲新芽や若い葉が赤くなることが特徴のアカメガシワ

 

知っていると街中でもよく見かける植物ですが、一般的にはあまり馴染み深い植物ではないかもしれません。

 

ですがこの樹木、とっても面白いんです。

 

何が面白いって、この赤色。

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▲はっぱが赤くなっているように見えますが、近づいてみると…

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▲はっぱ自体が赤いのではなく、はっぱに生えている「毛が赤い」のです。

 

これが毛である証拠に、はっぱを指でこすってみるとこのように

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毛が取れた後に、本来の緑色の葉身が出てきます。

 

よく出来ているなぁ。と関心しつつ、どうしてこんなことになっているのだろう。という疑問が頭によぎってきます。

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▲よく見ると、アカメガシワのはっぱが赤く見えるのは新芽の時か若いはっぱの時期だけ。

 

じつはこれ、植物の紫外線除けなのだと言われています。

  

紫外線に弱いのは人間も植物も一緒。人間は日傘や日焼け止めクリームなどを使って紫外線から肌を守ろうと工夫しますが、植物はその身を赤くすることで紫外線から身を守ろうとします。

 

アカメガシワなら、葉っぱの表面を赤い毛でびっしり覆うことによって、毛の部分で紫外線を吸収。緑色の未成熟な葉っぱに届く紫外線を少なくするのが狙いなのだとか。

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▲赤い星形の毛がびっしり。

 

ちなみに冬芽のときはこんな形。 

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 ▲バンザイしているみたい。

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 ▲冬芽が少し綻ぶと、いきなり赤い毛に覆われたはっぱが出てきます。

 

なかなか凝った作りのアカメガシワですが、じつはこの植物は自然界のパイオニアと言われています。

 

例えば森林の中で大木が倒れた時や、洪水や崖崩れなどによって崩壊地が出来たとき、地中で待ち構えていたアカメガシワが「いまだ!」とばかりに芽を出してきます。

 

強い直射日光や吹きさらしの風雨など、植物の生育には困難な環境を、むしろ他のライバルがいないチャンスと捉えて素早く成長するのがアカメガシワの方法。

 

つまり、アカメガシワの赤い毛は、厳しい環境で生きていくための大事な工夫だったのです。

 

はじめに「まちなかでもよく見る」と書きましたが、それもそのはず。アスファルトに覆われた道は、自然界の崩壊地の環境に似ているため、生まれながらのパイオニアたるアカメガシワがその本領を発揮するにはうってつけなのかもしれません。

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 ▲こんな風に、よくブロックの隙間から生えてきています。

 

さらに驚くことに、パイオニアの工夫はこれだけではありません。

 

若くは赤い毛で身を守り、はっぱが大きくなってからはこうして…

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▲なんと、アリを仲間に引き入れるのだそうです。

 

はっぱの付け根をよく見ると、蜜腺と呼ばれるものがあり、アカメガシワはそこから甘い蜜を出しています。

 

アリはこの蜜に誘われてアカメガシワのはっぱの上をウロチョロ動きまわる。

 

その際に他の虫が現れると、働き者のアリは外敵を追い払ってしまいます。

 

このように、アカメガシワは蜜をアリに提供する代わりに、アリに外敵から身を守ってもらっているのではないかと考えられています。

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 ▲アリが蜜をなめているところ。

 

自然の世界に「意志」や「作為」があるのかどうかはさておいても、アカメガシワの巧妙な作戦には思わず唸ってしまうものがあります。

 

どの世界でも、パイオニアの工夫は面白いものなんだなぁと、今日も近所の道端で思いました。