いまここで会える自然

本や図鑑に載っていることが、本当にそうなっているのか確かめたい。

ヘクソカズラの隠れた腺毛は何のため?

中国から帰ってきたら、すっかりこの花の季節でした。

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▲どこでもよく見かけるヘクソカズラ

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▲こういう花ね。

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▲最近少しずつ回数を増やしている地域での初心者向けの植物観察会で、ほとんど毎回行っているのが、この葉っぱの匂い嗅ぎ。

 

くっさーい!という反応が多く(たまに良い匂いという方もいますが)寄せられますが、昔の人も同じように感じていたようで、その匂いがそのまま名前になっています。

 

ちょっと書きにくいですが、屁と糞の匂いがするからヘクソカズラ…。

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▲別名をヤイトバナ。これはこの花の白と赤がヤイト(お灸のこと)に見えることから。

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▲さらに別の名をサオトメカズラ。これは花を早乙女がかぶる笠に見立てたことから。

 

風流な別名もあるのに、なぜか一般的なのはヘクソカズラ。くさーいという特徴の方が分かりやすくて広がりやすかったのでしょうか。

 

さて、この花。その匂いを嗅ぐだけでも十分盛り上がるのですが、今回ももう一歩だけ踏み込んでみます。

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▲まずは花の側面をアップで。なんだこの白い球のような毛は!綺麗だ…。

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▲続いて花を正面から。

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▲なんという毛の形!ふさふさ!!

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▲この手前に出ているぎざぎざの線上の部分は「雌しべ」。

 

なんという驚きの造形。直径1センチほどの花の中心がこんな風になっているなんて。

 

ひとしきり驚いたなら、次に出てくるのはじゃあどうしてこんなに毛むくじゃらになっているんだろうという疑問。

 

この腺毛からはネバネバの粘液は出ているのだろうか。出ているとしたら何のためなんだろうか。

 

そういえば花の表面のビーズ状の毛は何の役割をはたしているのだろう。

 

雄しべはどこに?葉っぱはどうして臭いの?花の中心が赤い理由は?

 

なんて、ヘクソカズラ一つを取り上げたってこんなに出てくる謎の数々。

 

花の中心に毛が多いのはきっと花の内部(外からは見えないけど雄しべや子房など)を守るためなんだろうな。とか、赤い色はやはり虫から見えやすいようにだろうなとか、色々なことを勝手に考えていると、流れる汗も気にならなくなってくるから不思議。

 

身近な植物も、よくよく見れば謎だらけ。本当に、植物は楽しいですねぇ。

《番外編》いまここで会えない自然 saussurea medusa 雪蓮花

ちょっと所用があり、中国奥地のチベット族が暮らす青海省に行ってきました。

 

そこで発見!死ぬまでに見たかった花のひとつ、「雪蓮花」!

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▲よく図鑑を見て憧れていましたが、今回ついに本物を見てしまいました。

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▲凄い見た目だ…。

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▲ちょこんと足をのせているみたい。

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▲これは何株も一緒になって生えているのかしら。

 

中国の植物は、なかなか良い図鑑がなく同定に難儀するのですが、GREY-WILSONの「GUIDE TO THE FLOWERS OF WESTERN CHINA」を見ると、どうもSaussurea medusaに該当しそう。

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Saussureaはトウヒレン属のことで、この頭の部分が花。

ちゃんと見ると確かにトウヒレンの仲間だということが分かります。

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▲続いて種小名のmedusaは、ギリシャ神話に出てくるヘビの髪の毛を持ち、見るものを石にしてしまうあのメデューサに姿をなぞらえて付けられているのだと思います。

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▲確かに、綺麗というよりは少し怖いくらいの見た目だものね。

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▲なんだか近寄って来そう…。

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▲じつはこの植物は、漢方薬では雪蓮花と呼ばれ、かの有名な朝鮮人参にも匹敵するほどの滋養強壮剤として用いられています。

 

よくこうして売られているので、野生状態の花を見ることは難しく、じつは僕も今回思いがけず偶然見ることが出来ました。

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▲標高4,700mのがれ場。こんなに過酷そうな場所に生えていたのね。あなたは。

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▲ちょっと目を離すと、どこにあったのか分からなくなります。

(どこでしょう?)

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▲葉っぱのアップ。毛がふっさふさ。

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▲もう少し近づいてみました。

 

今回Saussurea medusaを見つけた場所は、標高が高いこともあり、冬は非常に寒くなり、かつ乾燥の厳しい場所。

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▲ぎょっとする見た目をしていますが、この厳しい環境に耐えるためにこの形に辿り着いたのだろうなと思うと、進化の凄さを感じずにはいられません。

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▲そうこうしている間に、なんと白花を発見!これは可愛い・・・。

 

すごい。本当にすごいなぁ植物は。

 

数年憧れていた花は、実物で見ると想像以上の迫力と不思議さで、思いがけず花の前でしばらくぼぅっとしてしまいました。

 

このブログでは身近な植物を面白がるということをテーマに書こうと思っていますが、たまには外に出かけるのも良いものですね。

 

世界は広くて面白い!

どこまでも造形が魅力的なタケニグサ

これまた家の近くを自転車で走っていると、視界の端に存在感のある植物が。

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▲振り返るとタケニグサでした。

 

とっても目立つので、いまとなってはこうして無意識でも気が付くほどなのに、おそろしいことにこの植物の名前を知るまでは、まるで気が付かなかったんですよね。

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▲背丈は1m~2mほどにもなります。こんな道路沿いにも平気で生えているのに、名前を知らないと自分の世界に登場してこない。重ね重ね、名前を知ることって大事です。

 

それはさておき、僕は結構この植物が好きです。

 

なぜなら各部位に見所が多い植物だから。

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▲まずは、この植物の上の部分に注目。

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▲てっぺんにあるのが花のつぼみ。

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▲それが大きくなったものがこれ。開花直前の様子。

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▲白いつぼみ、よく見ると綺麗です。

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▲このつぼみから咲くのが、この花。花が開くと白いがくは落ちてしまうみたいです。

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▲花のアップ。花びらはなく、雄しべがたくさんついています。そしてピンク色の雌しべが一つ。

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▲雌しべのアップ。雌しべって、こうして小さい突起がたくさんついていることがよくあるけれど、これはやっぱり花粉がくっつきやすくするためなのかしら。

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▲花が終わったあと。

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▲それから、若い果実。

 

という感じで、順番に各所を見ていくと何だかどこも造形的に面白いんですよね。

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▲葉っぱのかたちも印象的。

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▲葉の裏は白い。

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▲この白さに近付くと

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▲その正体は、白い縮れ毛!なんじゃそりゃっ!

 

いやはやなかなか見ごたえがある植物です。

 

タケニグサは、ケシ科の植物で、全草有毒。日本ではあまり使われないけれど、海外では園芸植物として使われることがあるのだとか。

 

確かにこの見た目ですからね。この花も、日本でもっと広く認知されていてもいいのになと思う植物の一つです。

 

きっと今日も近くで何食わぬ顔をして咲いているこのタケニグサ。


こういうのって、美術をやってる人なんかも好きだと思うのだけど、どうなのだろう。


路傍の美術館。植物の名前を知るだけでフリーパスです。

日本が誇る梅雨明けの花 ヤマユリ

日本の花と言うと、何故だかちょっと小さかったり地味だったりというイメージがありますが(僕は結構それが好きなのですが。つつましくて)、じつは中には「えっ!こんな花が日本に野生であるの!?」と驚くものもあります。

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▲おそらくヤマユリの花はその筆頭選手。

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▲直径20~25センチほどの大きさで、近づくとなかなかに迫力があります。

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▲有無を言わせぬ美しさ。遠くからでもふわっと甘い香りが漂ってきます。

 

いつも植物の細かい話を嬉々として書いていますが、ヤマユリに関してはあまりそういう気持ちになりません。たぶん問答無用の美しさだからでしょうか。

 

ヤマユリは日本の固有種で、東北~近畿地方まで分布している植物。意外と分布は広いですし、東京でもわりと身近で見られる場所があります。

 

こんなに目立って綺麗なのに、この花の名前を知るまではどこに咲いているか気にもならなかったのが不思議。

 

名前を知るっていうことは本当に重要なことなんだなぁと思います。

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▲つぼみも大きい。

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▲世界でも最大級のユリの花だそうです。

 

花がとっても大きいので、ハチなどの小型の昆虫が来ても花粉媒介には役にたたないのだとか。

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▲花が大きいと、雌しべと雄しべを観察するのも容易。柱頭は花粉をつけるために少し湿っているんですね。

 

小型の虫では花粉を運べないということで、恐らくアゲハチョウなどの羽を広げると大きくなるものが花粉を運んでいるのではないかと言われています。

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▲そう聞いて、じつはユリの花でちょっと気になっていたことを思い出しました。

 

ヤマユリのこの赤い斑点、これを良く見ると

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▲ただ色が付いているだけではなくて、ちょっとした突起になっているんです。

 

これ、もしやチョウのための足場なのかしら。

 

むむむ。なんだか美しさにやられてしまってあまりちゃんと観察できなかったけれどまだまだ研究のしがいがありそうだ。

 

じつは高校生の時に使っていた通学路に点々と生えているこの花。なんであの時は知らなかったんだろう。もったいないことしたな。

 

こういう素晴らしい花が日本にあるということは、もっと広く知られてもいいのになと思います。 

ツユクサの3種類の雄しべと、2種類の受粉の方法

お昼に公園で見つけたので、一枚パチリ。

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▲さぁこれはなんでしょう。

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▲正解は、小さい子でもよく知っているツユクサ・・・の「昼の姿」でした!

 

ツユクサは早朝に咲き、昼にはしぼんでしまう儚い一日花。いまは忙しいから後で見ようなんて思っていると、いつの間にかこんな姿になっているので意外にちゃんと見る機会が少ない植物だと思います。

 

そういう植物にかぎって、よく見ると面白いんですよね。

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ツユクサを横から。(朝8時の様子)

 

さて、この写真の中で、どれが「雄しべ」でどれが「雌しべ」でしょうか?

 

と聞かれたら、答えるのがなかなか難しいと思います。

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▲というのも、花をのぞくとなんだか色々な形をしたものがたくさん付いているからです。

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▲まずは花の先の部分から。真ん中にある先端だけピンク色のものが「雌しべ」。

そして、その両側の花粉がついた葯がついている部分が「雄しべ」。これは簡単。

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▲難しいのがこれ。これは一体なんだ。

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▲正面から見てみると、Ⅹ字あるいはπ字の形をしている。

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▲π字形の脇のところに、ちょっと色が濃いオレンジの小さな塊。調べてみるところ、これが花粉なのだとか。

 

ということは、この変ちくりんな形をした部分も「雄しべ」ということ。

 

ただし、この部分は「雄しべ」と言って、この小さな花粉には交配能力が無いのだそうです。

 

交配能力がない(そもそも花粉も少ない)ので「仮雄しべ」。

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▲もう一度先ほどの写真。X(π)字形の仮雄しべの下に、今度はY字形のもの。

 

これも花粉が出ているので、どうやら「雄しべ」のよう。調べてみると、これには交配能力があるらしい。

 

それでは、順に並べてみます。

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▲先端には、交配能力のある「雄しべ」が2つ。そして、その真ん中に「雌しべ」が1つ。

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▲真ん中には、交配能力が無いけれど目立つ「仮雄しべ」が3つ。

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▲仮雄しべの手前に、交配能力のあるY字形の「雄しべ」が1つ。

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▲ということでツユクサの花には、雄しべが6本と、雌しべが1本ついているということが分かりました。

 

こうして改めて真正面から見てみると、交配能力の無い「仮雄しべ」ばかりが目立つと思いませんか?

 

何でだろ。交配能力のある雄しべが活躍しないとマズイんじゃないのかツユクサ

 

・・・なんて思った僕が浅はかでした。なんとなんと、これこそがツユクサの作戦なのだとか。

 

植物にとって、花粉を作ることはとてもエネルギーを使うこと。人と一緒で、出来ることなら省エネしたい。

 

花の中心にある雄しべ3つの花粉を節約する代わりに、大きく目立つ姿に形を変えて「ここに花粉ありますよー!(本当はないけど)」と虫にアピール。

 

X字に引き寄せられた虫がツユクサの花に近寄ってきた際に、交配能力のある他の目立たない雄しべに気付かないうちに触れる。

 

そして知らぬ間に他の花へと花粉を運び、受粉の手伝いをさせるというのがツユクサの戦法。(違う花と受粉を行うことを「他家受粉」といいます)

  

むむむ。あなどれませんねぇ、ツユクサは。

 

なぁんてとこでは終わらないこの話。まだもう少し続きます。

 

可愛いらしい見た目と違ってなかなかに計算高いツユクサは、朝と昼で違う顔を見せます。

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▲昼前の様子。朝となにが違うでしょうか。

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 ▲横からみたところ。

 

見て分かるとおり、朝には真っ直ぐに伸びていた2本の「雄しべ」と「雌しべ」がくるくるっと根本に向かって丸まっています。

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 ▲アップ。

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▲さらにアップ。 真ん中の雌しべの柱頭に、花粉が付いているのが見えるでしょうか。

 

この写真だけで分かった方もいると思いますが、ツユクサは昼になると雄しべと雌しべをくるくる丸めて、自分の花粉を自分の柱頭にくっつけて受粉をするのだそうです(自家受粉といいます)。

 

つまり、ツユクサは2種類の受粉の手段を有することで、受粉成功率を高めているのだと考えられています。

 

虫による受粉が成功しなければ、自分で受粉しちゃうぞ。と。

 

なんとまぁ、よく出来ていること!

 

と感心してしまいますが、よく考えてみればそれもそのはず。ツユクサの花の命は早朝~昼までのほんの一時。

 

この間に受粉を成功させないといけないので、こうして様々な工夫を凝らして備えているんですね。

 

ちなみに、万葉集にはツユクサのことを詠んだ歌が何首か出てきて、その儚い命を自身になぞらえて詠っているものが多くあります。

 

朝(あした)咲き 夕(ゆうべ)は消える 月草の 消ぬべき恋も 我れはするかも 作者未詳

 

→「月草」は「ツユクサ」のことなので、「朝に咲き、夕べにはしぼんでしまうツユクサのように、消えてしまいそうな恋を私もするのでしょうか」のような意味。

 

月草の 惜れる命にある人を いかに知りてか 後も逢はむと言ふ 作者未詳

 

→「ツユクサのように儚い命の私なのに、どうして後で逢おうなんて言うのでしょうか」

 

万葉の時代の人が、ツユクサの花の作りや受粉方法まで知っていたかは分かりませんが、この花が早朝に咲き、一日のうちにしぼんでしまうことは知っていたみたい。

 

そして、それを自身の淡い恋心にのせて詠いたくなるほど身近に感じていたのだなぁと思うと、なんだか今と昔が繋がって不思議な気持ちになります。

 

自分の気持ちを植物に託す豊かな感性は、今に生きるわたし達も見習いたいところだなと思います。

ホタルブクロのつぼみを突き破るトラマルハナバチ

今年も良い季節になったので、毎年恒例のホタル鑑賞へお出かけ。

 

そこで発見!ホタルではなくホタルブクロの花。

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▲この花の中にホタルを入れて遊んだことからホタルブクロ。

 

…とよく言われますが、実際に入れるのは無理なのでは?ともよく聞きます。

 

ホタルが飛ぶ時期に咲いていて、ちょっと袋みたいだから、ホタルブクロかしら。

 

この花を見ながら思い出したのは1年前のこと。

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▲四国にて、ホタルブクロの白い花を発見。いまにも咲きそうなつぼみ!

 

あぁこの状態も凄く惹かれるものがあるなぁと思い、写真を撮っていたところ

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▲ぶーんと、トラマルハナバチがやってきました。

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▲せっかく来たのに残念。まだつぼみでした。と思った次の瞬間…

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▲つぼみに頭突き!

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▲えっ・・・

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▲と、呆気に取られている間にトラマルハナバチは花の中へ浸入。

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▲うそ、これどうなっちゃうのかしら?と目を離せないぼく。

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▲なにやら花の内部で上下にウロウロしている模様。

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▲…出てきた!

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▲花の外側に捕まると

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▲すぐにその場を飛び去っていきました。

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▲こじ開けられたつぼみを下から覗く。

 

花の蜜や花粉を集めて餌とするミツバチやマルハナバチの仲間たち。花が咲いていなければ頭でこじ開けていくほどアグレッシブに餌を求める姿にしばし感動。そして、どうしてこのつぼみの中に目的のものがあると分かるのだろうと、興味深々。

 

ホタルブクロにとっては、トラマルハナバチに餌を提供する代わりに花粉を他の花に運んでもらうという利点があるので、植物と虫は切っても切り離せない関係にあります。

 

こういうことだって、教科書で習うより実際の現場を見た方が強く印象に残りますね。

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▲じゃあもしかして。と前出の写真を拡大してみると、後脚に花粉のかたまりを発見!

 

花によってくるハチの仲間をよく見ていると、こうして花粉のかたまりを脚にくっつけていることがあります。これはハチが花の中を動きまわることで体に付けた花粉を、後脚を器用に使って一ヵ所に集めることでこうなるのだとか。

 

確かにこのほうが巣に持ち返りやすそうだ。と、ホタルブクロを見ていたはずなのに、いつのまにかハチに興味が出てきてしまった僕。

 

虫のことももっと知りたいなぁ。

知っているようで知らないオオバコの話

知っていると思っている植物ほど、よく見てみると知らなかったことだらけ。

 

たとえば、「オオバコの花ってどーれだ?」と改めて聞かれたら、答えられるでしょうか?

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▲正解は、これ!

 

えっ?どれ?と思った方のためにさらに近付いてみます。

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▲このギザギザの白い棒のようなもの。これが花です。

 

花といっても、これは「雌花」。花びらは閉じている状態で、中から白いギザギザの柱頭だけが顔を出しています。

 

それでは「雄花」はどれかしらと、探してみます。

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▲見つかりました。花びらが開いた中から、先端に花粉が入った葯のついた雄しべがヒラヒラと覗いています。

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▲アップ。

 

遠めに見ていると分かりませんが、じつはこうして「雌花」と「雄花」がちゃんと花を咲かせています。

 

と、ここまではただ花の様子を確認しただけ。これだけでも面白いけど、もう少し踏み込んでみます。

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▲花の全体を見たところ。先ほどみた白いギザギザの雌花が上部についていて、ひらひらの葯がついた雄しべが下部の方についているのが分かるでしょうか。

 

オオバコは、花を下から上へと順番に咲かせていきますが、まず先に「雌花」を咲かせ、その後を追いかけるようにして「雄花」を咲かせるという時間差戦法を使っています。

 

オオバコは、雄しべの花粉を風にのせて雌花へ運ぶ植物(風散布といいます)。もしも「雌花」と「雄花」の咲く時期に時間差がなく同時に咲くとしたら、同じ個体の中で受粉をしてしまう可能性があります。

 

それを避けるため、こうして「雌」と「雄」の時期を分けて花を咲かせるのだとか。

 

さらに、「雌」から「雄」へという順番も重要。

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▲もし雄しべが上にいたら、せっかく花の咲く時期をズラしても、風で落ちた花粉が下の雌しべにくっついてしまいますからね。

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▲遠くから見るとなんてことないのに、じつはよく出来ているオオバコの花。

 

こうして一つの花の中で、性別を変える方法は「雌雄異熟」と呼ばれますが、以前ご紹介したホオノキも同じ戦略です。

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さて、ここで終わるかと思いきや終わりません。よく見ていると花が終わってすでに実になっているオオバコがちらほら。

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▲カプセルみたいになっている果実。

 

植物の世界ではこのような果実を「蓋果(がいか)」と呼びます。読んでそのまま、フタがある果実のことです。

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▲蓋を外すと中から種が出てきます。

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▲この種を水でぬらしてみると、(写真だと分かりづらいですが)ジワジワっと少し粘ります。

 

雨が降ったあとなどに、人間や動物がオオバコを踏んづけると、その足の裏に種がくっつくので、そのまま遠くへと種を運ぶことができるというのが、オオバコの種子散布方法。

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▲小さいころ、オオバコの葉っぱをちぎって中の白い筋のようなものを取って遊んだことのある方がいらっしゃるかと思いますが、これにも意味があります。

 

種を運ぶために「踏まれたい植物」であるオオバコは、踏まれても大丈夫なように組織を強くしています。

 

植物の体の中で特に大事なのは「維管束」。水分や養分を通す管のことです。

 

踏まれたいけれど、この管が壊れると生きていけない。なのでオオバコはこの維管束を丈夫にして、ちょっとやそっとのことでは壊れないようにしています。

 

なるほど~!小さいころの遊びにもちゃんと理由があったのかぁ。

 

知れば知るほど凄い植物。オオバコ。

 

身近な植物も、掘り下げてみれば随分と楽しめるものです。

 

そういえば、前に見たドクダミもなかなか奥深い植物でした。

imakokonoshizen.hatenadiary.jp

 

*最後にマメ知識*

もしも山で迷ったときにオオバコが目についたなら、オオバコが多く生えている方へと進んでみてください。

 

オオバコは人に踏まれてその生息域を広げているので、オオバコが多く生えている方に人が住んでいる可能性があります。

 

…この知識を使う場面はそうそう訪れないと思いますけどね。